【中江藤樹の言葉】 それはあしき心得なり・・・
さようのたから(真理)は、まことにもとめまほしき事にて御座候えども、あまり広大なる道なれば、われわれが分にては、およびがたくおぼえ候。
師の曰く、それはあしき心得なり。広大なるゆえに我人のおよぶことにて候。
たとえば日月のひかりは広大なるによって、目あるほどのものあまねくもちい得るがごとし。このたからも広大なるゆえに、貴賤男女をえらばず、おさなきも老いたるも、本心のあるほどの人は、あまねくまもりおこなうみちなり。
このたからは天にありては、てんの道となり、地にありては、地のみちとなり、人にありては、人のみちとあるものなり。
中江藤樹
中江藤樹
近江小川村に生まれた江戸初期の儒者で、陽明学の祖とも言われる。近江聖人とも呼ばれる。