【白州正子の言葉】 だいたい日本人というのは非常にせっかちな国民です。
だいたい日本人というのは非常にせっかちな国民です。
何か結果がすぐに眼前に現れないと気がすまない。
いつでも何につけ、長所はそのまま短所である場合が多いのですが、そういう性質のために、進歩が早いといういい事もあるかわりに、長いことかかってする仕事は甚だ性にあいません。
まして、文化や教養などというものは、一生かかっても身につくかどうかおぼつかない、それほど漠としたものであります。其処から覚悟してかからないかぎり、いくら考えてもあこがれてもなんとも仕様がないことです。
白州正子
白州正子
随筆家。1910年(明治43年)、東京生まれ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。4歳から能を学び、1924年(大正13年)、女性として初めて能楽堂の舞台に立つ。同年、学習院女子部初等科を卒業、米国へ留学。ハートリッジ・スクール卒業後、帰国。19歳で白州次郎と結婚。1943年(昭和18年)、志賀直哉、柳宗悦らの勧めもあって『お能』を刊行。戦後は、青山二郎を中心とする文士集団“青山学院”で文学修行に励む。能、古美術、古典文学、史跡に自然と、随筆の題材は多岐にわたる。『能面』『かくれ里』は、ともに読売文学賞を受賞。