【トルストイの言葉】 人々が夢中になって騒ぐもの、それを手に入れるために・・・(1)
人々が夢中になって騒ぐもの、それを手に入れるために躍起になって奔走するもの ―― そうしたものは、彼らになんの幸福ももたらさない。
奔走しているあいだは、その渇望するもののなかに自分らの幸福があると思っているけれども、それが手に入るや否や、彼らはふたたびそわそわしはじめ、まだ手に入れていないものを欲しがり、人が持っていれば羨ましがる。心の平安は、いたずらなる欲望の充足によって生じるものでなく、反対にそうした欲望の棄却によって生ずるものである。
トルストイ
1828年9月9日〔ユリウス暦8月28日〕 - 1910年11月20日〔ユリウス暦11月7日〕
帝政ロシアの小説家、思想家である。フョードル・ドストエフスキー、イワン・ツルゲーネフと並んで19世紀ロシア文学を代表する文豪。代表作に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など。文学のみならず、政治・社会にも大きな影響を与えた。非暴力主義者としても知られる。