【森山大道の言葉】 シャッターを押しちゃった瞬間にフィルムに焼き付いたものは・・・
シャッターを押しちゃった瞬間にフィルムに焼き付いたものは、その瞬間からどんどん本人の意思を離れていく。
もちろんシャッターを押すモメントは、その人間の、僕の場合は当然僕の、一瞬のうちに脳裏をよぎる記憶だったり、美学だったり、思考だったり、欲望だったりが反映されてるんだけど。
でも、撮られたほうはそんなことは知ったこっちゃないわけで。
その知ったこっちゃないものが残るんだよ。
それで、何年、何十年か後に、『どうだ?』と呼びかけてくるわけ、向こうがね。
それが写真の面白さ、写真の圧倒的な強みだよね。
森山大道
1938年、大阪生まれ。1964年にカメラマンとして独立。1968年、ブレ・ボケ・アレと称される前衛的写真の先陣を切り、『にっぽん劇場写真帖』を発表。以降、写真という概念・制度の最大限までの拡張、解体を試みる。世界的評価も高く、1999年のサンフランシスコ近代美術館を皮切りに2年にわたって全米を巡回した回顧展や、2003年、パリのカルティエ現代美術財団での個展など、海外でも大規模な展覧会を多数開催。